■ 『ATTESA E-TS』の解説
ATTESA E-TS(アテーサ イーティーエス、Advanced Total Traction Engineering System for All Electronic - Torque Split)とは、日産自動車が901運動に基づき開発した電子制御トルクスプリット四輪駆動システムの名称。搭載車種は過去にはスカイラインGT-R、現行車ではGT-R(R35型)、スカイラインクロスオーバーなどの4WDスポーツ車である。
かつてはHPやカタログ上でATTESA E-TSと表記されていたが、V36型スカイラインはHPやカタログ上でアテーサE-TSと表記されている。(ただし2008年2月にマイナーチェンジしたシーマ後期型のカタログでは一部ATTESA E-TSと表記されている箇所もある)
解説
ATTESA E-TSは、基本的には後輪を常時駆動し、走行条件に応じて前輪にトルクを0:100~50:50の範囲で配分する。そのため、後輪へは直結状態で駆動力を伝え(センタースルー)、前輪へはトランスファーで分岐させている。トランスファーに組み込まれた湿式多板クラッチの押し付け力を油圧の変化で増減し、前輪へ伝達されるトルクの大きさを変化させる。そのため、センターデフは装備していない。
このクラッチを放した状態では、後輪駆動。クラッチを結合した状態では、リジッド4駆になる。この間を電子制御で無段階に変化させている。
さらに、このシステムには、前後4輪の車輪速度センサと、横Gをアナログ的に検出するGセンサを付けている。これらセンサからの信号入力を受け、コントローラが油圧多板クラッチの圧着力を変化させて、前後のトルク配分を決定する。
したがって、通常の後輪駆動状態から、後輪にかかる駆動トルクの増大で、後輪のスリップ量が大きくなると、前輪へも駆動トルク伝達を行う。前輪へ伝達する駆動トルクの大きさは、横Gの大きさと前後輪の回転速度差に応じて変化する方式としている。
例えば、アイスバーンのように、タイヤの摩擦係数μ(ミュー)の低い路面で、操舵角に対して横Gが小さかったり、後輪のスリップ量が大きい場合は、前輪へのトルク伝達を増やす。
一方、ドライ路面でのコーナリングのように、横Gが非常に大きい状態では、ホイールスピンしていても前輪へ伝達するトルクを余り増やさない。
これは、後輪側の駆動トルクを大きくし、かつ前輪の駆動トルクを小さく配分することにより、後輪をアクセルワークによって積極的にコントロールするマージン(ドリフトコントロール性)と、前輪の操縦性(アンダーステア対策)を確保している。
さらに、ABSとの総合制御も実現している。
4輪それぞれに設けられた車輪速度センサやGセンサにより、作動タイミングをきめ細かくコントロールできるため、より自然な制動性能を確保している。
急制動時には、4輪すべてに適切な割合でエンジンブレーキ力を割り振り、ブレーキ性能とアンチスキッド性も高めている。
このシステムにR33型及びR34型Vスペックなどでは多板クラッチ電子制御式LSD(リミテッドスリップデフ)を組み合わせた「ATTESA E-TS PRO」となり、後輪(リアデフ)左右のトルク配分を可変とすることで、ヨーコントロールを可能としている。
■ 『ATTESA E-TS』の解説 by はてなキーワード
日産自動車が開発した電子制御トルクスプリット4WDシステムの名称。
ATTESA E-TSは「Advanced Total Traction Engineering System for All Electronic - Torque Split」の略。
BNR32型スカイラインGT-Rに搭載されて以来、現在でもR35型GT-Rやスカイライン、フーガ、ステージア、シーマといったスポーツタイプのエンジン縦置き4WDモデルに採用されているFRレイアウトの4WDシステム。
通常は後輪駆動(前:後=0:100)であり、必要に応じて(後輪がスリップする、前輪のトラクション不足など)湿式油圧(現行車両では電子制御)多板クラッチを用いたトランスファーの押し付け圧力を変える事により前輪に最適なトルク(最大50:50まで)を無段階で伝達する方式の4WDシステム。
前後4輪の車輪速度センサーや横Gセンサーや縦Gセンサー、及びステアリング蛇角センサーやABSとの総合制御を用い、作動タイミングをきめ細かくコントロールする事を可能としている。
これらの機能により、4WDながらFR的なコントロールを可能とし、スポーツ走行時における4輪のフル活用に貢献している。
更に、BCNR33型及びBNR34型スカイラインGT-Rの一部スペック(Vスペック)においては、それらに加え多板クラッチ電子制御式リアLSDを組み合わせた「ATTESA E-TS PRO」を用いて、前後だけでなく後輪左右のトルク配分をも可能としている。
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