■ 『日産・マーチ』の解説
マーチ (MARCH) は、日産自動車が製造・販売するハッチバック型のコンパクトカーである。
概要
ヴィッツ・フィットとともに、日本のコンパクトカー御三家の一角を占める。日欧両市場での販売を視野に入れており、日本以外では「Micra(マイクラ、ミクラとも読む)」名で販売されている。扱いやすいコンパクトなボディに大人4人が快適に移動できるキャビンを持つ合理的なパッケージングが特長であり専門家の評価も高い。特に2代目・K11型は日欧でカー・オブ・ザ・イヤーを同時受賞するなど高い評価を受けた。また、日本車としては珍しくフルモデルチェンジのスパンがかなり長いのも特徴の一つである。ライバルのヴィッツと共に、ワンメイクレースが行われるなど、手軽なモータースポーツへの登竜門としての一面も持つ。
初代 K10型(1982年-1992年)
1981年10月、第24回東京モーターショーに「NX-018」の名で参考出品。開発は当時東京都杉並区荻窪に在った荻窪事業所にて行われた。初代マーチはその荻窪事業所で新車種として最後に開発され世に出た乗用車である。開発主管には旧・プリンス自動車出身の伊藤修令が務めた。
当初搭載されたエンジンはMA10S 987cc電子キャブレターECC仕様 (E-K10) 。グレードもE(基本性能に徹したモデル)・L(基本的車種でファミリー若者向実用車)・S(機能、内装の充実を図ったモデル)・G(最上級モデル)の3ドアハッチバック車4種類だけだったが、のちにグレードが充実化され、キャンバストップ車や5ドアハッチバック車、MA10ET 987cc水冷ターボECCSエンジンを搭載した「マーチターボ」、MA09ERT930cc空冷式インタークーラー、ダブル過給機付きECCSエンジンを搭載し、ビスカスLSD標準装備のモータースポーツに対応したマーチR、そのグランドツーリング版のマーチスーパーターボなどの車種も登場した。
1982年10月にモーターショー発表から長期にわたる1年間のプレキャンペーンの後、発売された。「マーチ」の名称は一般公募により決定した。
約10年という、日本の量産車としては珍しく、極めて長いモデルライフであった。
当初から、最小限の装備だけを持っていたが、最終型には、パワーウインドウ装着車 (FV) も存在した。
派生車種
主な派生車種は、パイクカーの「Be-1」BK10型、MA10Sエンジン搭載・「パオ」PK10型、MA10Sエンジン搭載・「フィガロ」FK10型、MA10ETエンジン搭載や、レーシングフォーミュラーカーの「ザウルスジュニア」NSJ-91型、MA10Eエンジン搭載などが挙げられる。パイクカーの人気は高く、特にBe-1は中古車市場にリセールした方が、本体購入価格より倍近い値段がつくという事で「財テクカー」と呼ばれた。
年表
- 1978年初頭
- 日産自動車、リッターカーの開発に着手。
- 不明年
- リッターカー開発プロジェクト「KX計画」を日産自動車の石原俊社長(当時)直轄化の元でスタート。
- 1981年10月30日 - 11月10日
- 第24回モーターショー(東京都中央区晴海)でFF1000CC乗用車、「NX.018」参考出品。
- 1981年10月29日 - 1982年1月15日
- 車名の募集キャンペーンを実施、全国からの応募数は、565万通に及んだ
- 1982年10月22日
- 午前11時に東京都中央区銀座にある日産自動車本社にて、K10型マーチの新車発表記者会見が行われた。
- 1982年10月
- K10型マーチ発売。
- 1983年4月
- 3ドアハッチバック「G-COLLET」仕様車追加(4MT/3AT車)。
- 1983年7月
- 日産50周年記念限定車、50スペシャルII (TWO) 仕様車を限定2000台で販売。特別装備として、フロントグリルに50周年記念エンブレム、50周年記念専用デザインキー、ドアミラー(電動リモコン式)、ブロンズガラスシールド、専用ボディカラー、アクセント・ピンストライプ、155SR12サイズのラジアルタイヤなどを採用。
- 1983年9月
- 5ドアハッチバック新設定、「FT」・「FC」仕様追加(4MT車にはFT・FC、5MT車にはFT、3AT車にはFT・FCが用意された)、3ドアハッチバック車「G-1」仕様新設定(標準装備として後部がチルト、なおかつ脱着可能な2ウエイ式ガラスサンルーフを設定。※5MT車)。
- 1984年
- 日産伝統の入門レースカテゴリー、K10型マーチでのワンメークレース「マーチカップ」開催。
- 1984年2月
- 5ドアハッチバック車の最上級車種、「FV」仕様車追加(4MT車/5MT車/3AT車)。
- 1985年2月
- マイナーチェンジ。車体の一部変更。「マーチターボ」MA10ETエンジン搭載車を追加 (5MT/3AT) 。コレットの4MT車にスロープストッパーを採用、MT車でも登坂路の坂道発進を容易にする補助装置として、従来のブレーキシステムにプレッシャーホールドバルブを追加設定。MA10Sでは三元触媒に統一。3ドアハッチバック車ではコレット仕様パワーステアリング車を新設定し、S仕様の4MT車・G仕様5MT車・S仕様3AT車が廃止され、5ドアハッチバック車では、FV仕様4MT車・FT仕様5MT車が廃止された。
- 1986年3月
- 特別限定車「ターボ・ホワイトセレクト (WS)」仕様車発売。
- 全国限定1500台。特別装備としてボディをホワイトで統一、ブロンズカラーガラスシールド、W・Sマーク入りボディステッカー、W・Sマーク入り3本スポークステアリング、フロントバケットシート、専用フルクロス布地(グレーカラー斜めストライプ)、などを装備。
- 1986年9月
- PUMPS!仕様車の追加。特徴としてメインシート表地の着替え選択が可能。メインシートカラーはシャーベットトーンの7色で前/後席ワンセット分と着替え用の前席分が標準装備で、しかもセパレートタイプ、別売で追加注文が可能、色の組み合わせは無限大に近く、ファスナー固定の上、洗濯可能である。
- シートカラーバリエーションは、ハーバーブルー、クレープイエロー、ポーラブルー、シェルピンク、コスモグリーン、パンプキンイエロー、ピーコックブルーがあった。
- 1986年
- 全日本ラリー選手権Aクラスに参戦しドライバーズチャンピオンを獲得。
- 1987年
- WRC、サファリーラリーにてNRS(ニッサンラリーサービス)がマーチターボで参戦。
- 1987年1月
- パイクカー第一弾「Be-1」BK10型、MA10Sエンジン搭載車発売。ただし、キャンバストップは3月発売。
- 1987年8月
- 「マーチ・キャンバストップ」専用仕様車の追加。G-1仕様車の廃止。全車にパワーステアリングをメーカーオプションで拡大設定(L仕様5MT車を除く)。車体色に新色を大量に採用、内装はトリム・シート生地の変更(ターボ仕様車を含む)。MA10ETエンジンは空燃費比最適制御によりEGR装置を廃止。
- 1987年
- 全日本ラリー選手権Aクラスに参戦しドライバーズチャンピオンを獲得。
- 1988年1月
- 3ドアハッチバック車、i.Z仕様車発売。
- パイクカー第2弾、3ドア2ボックス「パオ」PK10型、MA10Sエンジン4MT/3AT搭載車発売。
- 1988年8月
- モータースポーツ活動の対応車種、「マーチR」MA09ERT(930cc)ダブルチャージエンジン搭載、5MT仕様車限定発売。主に国内ラリーで活躍。
- 1988年
- WRC第36回サファリラリーでマーチターボ、JH.ヘイズ/A.Levian組が総合10位A3クラス優勝。
- 1989年
- WRC第2戦、モンテカルロラリーでマーチターボ参戦、ドライバーはP.エクルンド
- WRC第4戦、サファリラリーでマーチターボ、L.モーガン/L.マローテ組が女性コンビながら、総合12位、クラス優勝。
- WRC第13戦、RACラリーでマーチターボ、P.エクルンド/D.ウィトッグ組で参戦、総合21位、クラス3位。
- WRC第6戦、アクロポリスラリー、マーチスーパーターボ、P.エクルンド/B.セデルベルグ組が総合10位、クラス優勝。
- MA09ERT搭載のEK10FR型マーチRが全日本ラリー選手権シリーズ優勝(Bクラス1001cc以上1600cc未満クラス)。
- WRC第7戦、ラリー・オブ・ニュージーランドでマーチスーパーターボ、P.デビット/W.ジョーンズ組、グループ.N、総合3位、クラス2位獲得。
- 1989年1月
- マイナーチェンジ。5ドアハッチバック車i.Z仕様発売。「スーパーターボ」(E-EK10)5MT/3AT発売。L型5速専用エンジンの廃止。車体の一部変更。コレット・パンプス仕様車にスロープストッパーを標準採用。メーカーオプションとして脱着式ガラスサンルーフの設定をパンプス・コレット・ターボ・スーパーターボに、電動キャンバストップの設定をパンプス・コレット・ターボに、デュアルエキゾーストパイプをRに加え、ターボ・スーパーターボにそれぞれ採用。「マーチ・キャンバストップ」専用仕様車の廃止。
- 1990年1月
- i.Z仕様車一部変更。
- 1991年
- MA10Eエンジン搭載、レーシングフォーミラー車「ザウルスジュニア」登場。ザウルスJrカップ発足。
- K10型マーチ、全車種生産終了。
- 1991年1月
- 3/5ドアハッチバック車「i.z-f」仕様車発売。
- 1991年2月
- パイクカー第3弾、2ドアオープントップ「フィガロ」FK10型、MA10ETエンジン(987cc)3AT搭載車発売。
- 1992年1・4月
- フルモデルチェンジで3/5ドアK11型マーチへ移行。
ファイル:Nissan Micra rear 20071212.jpg|中期型マイクラ(リア)
ファイル:Nissan Micra 1st series darkred vr.jpg|後期型
ファイル:Nissan_Micra_van.jpg|後期型マイクラバン(1990年欧州仕様)
2代目 K11型(1992年-2002年)
1992年1月、初のフルモデルチェンジを受けて2代目に移行する。エクステリアデザインに於いてはそのほとんどを、当時の厚木NTC内デザインセンターで日本ユニシスと共同開発の真っ最中だった日産初の造形意匠用CADシステムである「STYLO(スタイロ)」を、試用段階ではあったが初めて造形の初期段階から運用して制作されたものである。ボディ形式は初代に引き続き3ドアと5ドアのハッチバック型、後期型にはワゴン型「マーチBOX」やオープンモデルの「カブリオレ」もラインナップされていた。また、台湾オリジナルモデルとして、3ボックス型のセダンがある。
1998年には派生モデルとして、初代・Z10型キューブが生まれている。
ミドルクラスセダンの初代・P10型プリメーラと同じく、日欧両市場を主要マーケットとして、欧州車と比肩しうる性能や快適性、合理的なパッケージングを実現することを目標として開発された。「安かろう悪かろう」が普通であった当時の日本製コンパクトカーの中では異彩を放つ存在であった。
プラットフォーム及びエンジンは新開発され、1.0/1.3LのCG型エンジンを搭載、5速MT/4速ATに加えて、スバルから供給を受けたECVTを組み合わせていた。CVTの採用は日産では初である。
日本市場での販売実績は、モデルサイクル全般にわたって堅調なもので、マーチに対抗できる商品力を持つ競合車が1999年の初代ヴィッツまで登場しなかったことや、バブル崩壊に伴い、コンパクトカーの経済性が見直されてきたことなどの要因から、登場から4年後の1996年度には142,000台を販売し、記録を更新した。当時の日産は莫大な有利子負債を抱え、深刻な経営状態となっていたがその時期の日産を支えた車種の一つである。
その後ヴィッツ、フィットなど、競争力の高いコンパクトカーが他社から続々と登場したこともあり、販売台数は若干落ちたものの、2001年製の最終モデルでも月間5,000台程度の安定した販売実績を残している。
生産工場はK10型同様村山工場であったが、閉鎖後は追浜工場に移管された。
派生車種
1998年に誕生したトールワゴン・初代「キューブ」は、マーチの基本コンポーネンツを流用して開発された。また、レトロ風のメッキグリルを持ち、リアオーバーハングを延長し独立したトランクルームを備えたセダン、光岡「ビュート」、エンジンチューン、機能的なエアロパーツを外装に持つトミーカイラ「m13(初代)」や、無印良品とのコラボレーションモデル「Muji Car 1000」も生まれている。
なお、追加キットだがクラシカルな外観を持つムークプリンセスなどもある。
受賞歴
K11型の評価は日本国内外共高く、日本カー・オブ・ザ・イヤー(1992)、RJCカー・オブ・ザ・イヤー(1992)をダブル受賞、欧州でも欧州カー・オブ・ザ・イヤー(1993)を日本車としては初めて獲得する快挙を成し遂げた。
これら3賞を同時受賞した日本車は2000年登場のヴィッツ(欧州名・ヤリス)まで登場しない。
- 1992年10月 - 通商産業省選定グッドデザイン賞を受賞。
- 1992年11月 - 日本カー・オブ・ザ・イヤー受賞。
- 1992年11月 - RJCカー・オブ・ザ・イヤー受賞。
- 1992年11月 - 欧州・カー・オブ・ザ・イヤー受賞。日本車初の快挙である。
年表
- 1992年1月
- 初のフルモデルチェンジ。
- 1992年4月
- 安価モデル「E」を追加。
- 1992年8月
- 英国サンダーランド工場で現地生産を開始。
- 1993年1月
- 1.0LエンジンにCVTを組み合わせた「B」追加。
- 1993年4月
- 欧州、日本、RJCの各COTY受賞を記念した特別仕様車「V3 AWARD」設定。ボディカラーは黒と赤の2種類のみ。
- 1993年11月
- 「アウトストラーダ」、「i・z セーフティグリップパッケージ仕様車」を追加。なお、アウトストラーダとはイタリアの高速道路の意。
- 1994年12月
- 一部改良により、運転席SRSエアバッグを全車標準装備化。
- 1995年4月
- 運転補助装置付きモデル「アンシャンテ」がオーテックから発売。
- 1995年12月
- マイナーチェンジ。内外装意匠の一部変更を受ける。
- 1996年6月
- 特別仕様車「F」設定。
- 1996年10月
- 特別仕様車「D」設定。
- 1996年11月
- 特別仕様車「コレット」設定。
- 1997年5月
- マイナーチェンジ。全車にデュアルエアバッグ、ABSを標準化、助手席エアバッグの装着に伴いインパネ形状が変更される。外観の変更点としてグリルがフード一体型に変更された。特別仕様車の「コレット」はカタログモデル化、以後「i・z - f」に代わって主要グレードになる。
- 1997年8月
- 電動ソフトトップを持つオープンモデル「マーチカブリオレ」が登場。
- 1997年10月
- 丸型ヘッドランプとメッキグリルを持つレトロ調特別仕様車「ボレロ」を設定。
- 1997年12月
- 1960年代英国風テイストの「ジューク」追加。赤と黒のツートンカラーが特徴。
- 1998年4月
- 英国生産モデルに、プジョー製1.5L TUD5型ディーゼルエンジンを搭載。
- 1998年11月4日
- オーテックジャパンにより丸型ヘッドランプとメッキグリルを備えるレトロ調特別仕様車「ルンバ」を設定。同時にコレットをベースに専用シートクロスやカラードドアハンドル&ライセンスランプカバーなどを装備した「コレットL」を追加。
- 1999年9月
- 英国生産モデルが累計生産100万台を達成。
- 1999年11月9日
- マイナーチェンジ。1.0L CG10DE型の出力向上、1.3LエンジンのCGA3DE型への変更を実施。無段変速機「Hyper CVT」搭載モデルやマーチとしては初の4WD車も設定された。外観の変更点としてはヘッドランプのレンズがマルチリフレクター化された点とテールランプ造形が変更された点が挙げられる。また、リアオーバーハングを延長したステーションワゴン風モデル、WK11型「マーチBOX」も登場した。
- 2000年5月9日
- モール類をカラード化した特別仕様車「ホワイトリミテッド」設定。ボディカラーは限定のシルキースノーパールのみが設定された。
- 2000年10月10日
- 内装を一部変更し、グレード体系も見直し。同時にコレットをベースに、アウトストラーダと同形状のメッシュグリルやフォグランプ一体型フルカラードバンパーなどを装備した「Mia」を追加。
- 2000年12月26日
- オーテックジャパンの手による丸型ヘッドランプが特徴の特別仕様車「ポルカ」を設定。同時にコレットをベースに、フロント&リアバンパーモールやサイドガードモールを車体色化した女性向け特別仕様車の「カジュアルリミテッド」を設定。
- 2001年4月
- K11型国内登録累計100万台達成記念車「コレット-f」を発売。フロント・リアのバンパーモール、サイドガードモール、アウトサイドドアハンドル、ライセンスランプカバーを車体色化した。
- 2001年5月
- 無印良品とのコラボレーションモデル「Muji Car 1000」発売。1000台限定。商用車を思わせるスタイルが特徴。
- 2003年
- オーテックジャパンの手によるスペシャルモデル「MID-11」公開。3ドアをベースに、可変バルブタイミング機構を備えたSR20VE型エンジンに6速MTを組み合わせ、204PS・21kg·mの性能を発揮した。エンジンはリアシート部分へ横置きしていた。
備考
- 日本国内のグレード名は「マーチ(=行進曲)」という名前にちなんで「G/A/B/E」といった英米式音階表記となっていた。「」は1.3L車、「」は1.0L車をそれぞれ示す。初代後期からの人気グレード「i・z - f」は例外であるが、「f」にフォルテ(強弱記号)を用いることでイメージの統一を図っていた。
- 台湾の裕隆日産汽車ではマーチのハッチバック型が「行進曲」という名前で現地生産されていたほか、このモデルが現在でも継続して生産されている。
- フランスでは氷上レースを戦うために、A32型セフィーロ用VQ30DEエンジンと4WDシステムをミッドマウントしたスペシャルモデルが開発された事がある。
ファイル:1999-2002 NISSAN March rear.jpg|後期型リア(1999年-2002年)
ファイル:Nissan-march k11 bolero-front.jpg|マーチボレロ(フロント)
ファイル:Nissan-march k11 bolero-rear.jpg|マーチボレロ(リア)
ファイル:Nissan March sedan 001.JPG|裕隆日産汽車股分製
3代目 K12型(2002年-)
2002年2月、2度目のフルモデルチェンジを受ける。生産は引き続き追浜工場で行われ、コンセプトは変わらず3ドアと5ドアのハッチバックのリッターカーであったが、日本市場では、2003年夏には1Lエンジンのグレードが消え、2005年のマイナーチェンジを機に、3ドアモデルは廃止され、現在では5ドアのみとなっている。欧州市場ではクーペカブリオレの「マイクラC+C」も発売されており、日本にも2007年7月に導入され1,500台が限定販売されている。
技術面ではルノーと共同開発した「アライアンス・Bプラットフォーム」が初めて採用された。日本仕様車では新開発の1.0/1.2/1.4LのCR型エンジンを搭載、5速MT/4速ATを組み合わせていた。欧州では1.6Lモデルも存在する。駆動方式はFFに加え、電動式四駆「e-4WD」も用意された。燃費の向上を目的に、全車に電動式パワーステアリングが採用されている。2代目の特徴の一つであったCVTは当初ラインナップされていなかったが、2005年のマイナーチェンジを機に1.5LのHR型エンジン+CVT搭載のモデルが復活した。
くりくりしたヘッドランプとカエルの顔をイメージさせる特徴的なエクステリアデザインは、NTC内デザイン本部第一プロダクトデザイン部(担当:猿渡義市)によるもの。欧州向け日産車に共通するウイング型のグリルをはじめ、丸くラウンドしたルーフや、わずかに残されたリアノッチ、ショルダー部分のキャッツウォーク形状には2代目の面影を残す。競合車種と比較した場合、全長が短いことや、後ろ下がりのルーフ形状のため、後席居住性やラゲッジスペースは若干劣ることが多い。また、日本仕様車では多彩に用意された個性的な内外装色も特色であり、自動車の優れたカラーデザインを顕彰する「オートカラーアウォード」を3度(内グランプリ2度)受賞している。ちなみに、初期型に設定されていた内装色の「シナモン(オレンジ)」は開発段階で微妙だという意見が出たものの、カルロス・ゴーン最高経営責任者の「いいじゃないか!」という一言で市販が決定した。
カルロス・ゴーンCEO着任後、初めて開発された車種として、その売れ行きには注目が集まったが、発売初年度の日本市場では月販目標台数8,000台を大幅に上回る月平均14,000台を販売した。その後、社内外から競合車が続々と発売されたこともあり、販売実績は低下傾向となった。しかし近年では他社の競合車種がモデルチェンジするたびに車両のサイズを拡大する傾向にあるなか、マーチは車幅などのサイズが比較的小さい車種ということもあり、発売後4年を経過した2006年時点でも月5,000台程度をコンスタントに売り続けている。
派生車種
同一プラットフォームを利用する車のほか、リアオーバーハングを延長し、独立したトランクを備えたセダン、「光岡・ビュート」が存在する。ビュートはマーチの3代目移行後も2代目をベースとしたモデルが継続販売されていたが、2005年9月に13年ぶりとなるモデルチェンジを受けた。また、ビュートの妹分として、良質中古車のK12型をベースとしたキュートが存在する。
トミーカイラ「m13」もK11型に続いてK12型もデビューしている。
受賞歴
- 2002年10月 - 経済産業省選定グッドデザイン賞を受賞。
- 2002年11月 - 「パプリカオレンジ×シナモン」の内外装色組合せと5色の外装色(コミュニケーションカラー)が第5回オートカラーアウォードのグランプリを受賞。
- 2003年7月 - ドイツのレッド・ドット・デザイン賞受賞。
- 2003年12月 - 外装色「ショコラ」が第6回オートカラーアウォードのファッションカラー賞受賞。
- 2005年12月 - 「チャイナブルー×アイスブルー」の内外装色組合せが第7回オートカラーアウォードで2度目のグランプリ受賞。
- 2007年12月 - 「サクラ×カカオ」の内外装色組合せがオートカラーアウォード2008で3度目のグランプリ受賞。同時にオートカラーデザイナーズセレクション・インテリア部門賞も受賞した。
年表
- 2001年9月
- 第59回フランクフルトモーターショーに「mm.e」を出品。
- 2001年10月
- 第35回東京モーターショーにプロトタイプ「mm」参考出品。
- 2002年2月22日
- フルモデルチェンジ。販売は3月5日から。月販目標台数は8,000台。
- 2002年9月5日
- 電動式4WD「e-4WD」を1.4L車に設定。同時にオーテックジャパンの手による特別仕様車「ラフィート」を設定。
- 2002年9月
- モンディアル・ド・ロトモビル(パリサロン)に出品、電動ハードトップを備えたオープンモデル「マイクラC+C」も併せて展示。
- 2002年11月29日
- 英国サンダーランド工場で現地生産を開始。
- 2003年5月8日
- 日産自動車創立70周年を記念した特別仕様車「12c 70th」、「14c-four 70th」を発売。電動格納式リモコンカラードドアミラー、オートライトシステム、リア可倒式シート、ETCユニットなどが装備された。
- 2003年7月1日
- ブラックラジエーターグリル、ブラックアウトヘッドライトなどを採用したスポーティーグレードの「14s」を追加。シャープのプラズマクラスター技術を搭載する「プラズマクラスターイオンエアコン」をオプション設定(市販車初)。
- 2003年9月
- 第60回フランクフルトモーターショーに「マイクラ1.5dCi」を出展。同年10月販売開始。
- 2003年10月15日
- オーテックジャパンの手による特別仕様車「12SR」を設定。3ドア・5ドアモデル共に設定。チューンアップされ高出力化されたCR12DE型エンジン、専用スポーツサスペンションなどを装備する。
- 2004年4月23日
- マイナーチェンジ。フルーツをイメージした新色を設定したほか、1.0L車を廃止。またフロントシートのホールド性が向上され、12c Bパッケージを除きプラズマクラスターイオンエアコンが全車標準装備とされた。
- 2004年8月18日
- オートライトや分割可倒式リアシートなど、装備を充実させた特別仕様車「Vセレクション」を発売。
- 2004年12月1日
- 特徴的なヘッドランプ形状をモティーフにしたシート表皮が特徴の特別仕様車「iセレクション」を発売。プライバシーガラスなどが装備された。同時にオーテックジャパンの手によるレトロ調特別仕様車「ボレロ」を設定。
- 2005年4月27日
- スウェード調シートクロスを採用した「プレミアムインテリア」を発売。他にオートライトシステムやリア可倒式シートなどが装備された。
- 2005年6月
- 電動ハードトップモデル「マイクラC+C」を英国で披露。ドイツのコーチビルダー・カルマン社と共同開発した。
- 2005年8月25日
- マイナーチェンジ。フロントのウインカーランプがクリアーになり、グリルの形状が変更された。テールランプとリアバンパーも形状が変更された。ボディカラーも設定が一部変更された。フロントグリルについても変更されたが、最上級グレードの15GとRX, SRには専用のものが採用された。また、3ドアモデルが廃止され、新たに1.5L HR型エンジン搭載モデルの追加された。3ドアモデル廃止に伴い12SRも5ドアベースに変更を受ける。4ATも型番変更され、MC前の4ATで発生していた1速→2速への変速ショックが改善されている。同時にオーテックジャパンによるSRシリーズに1.5LエンジンにエクストロニックCVTが組み合わされた「SR-A」が追加された。
- 2005年9月
- フランクフルトモーターショーに生産型「マイクラC+C」および「マイクラ160SR」を出展。
- 2005年11月
- 欧州市場で「マイクラC+C」を販売開始。
- 2006年6月1日
- コンランショップとのコラボレーションモデル「プラスコンラン」を9月まで限定発売。専用のフロントグリルやシートが装備された。
- 2006年10月4日
- 装備充実の「ワンタッチコレクション」、「ワンタッチコレクションプラスナビ」を設定。インテリジェントキーやリア可倒式シート、プライバシーガラスなどが装備された。
- 2007年6月5日
- マイナーチェンジ。フロントマスクのデザインが変更。これまでフロントグリルに設置されていたウインカーランプがヘッドライト内に移動された。この変更により、ボレロはヘッドライトとウインカーランプが別になっていたため、フロントバンパーの穴に丸型のウインカーランプが装着されていたが、後期型はかつてのウインカー用の穴はフタで塞がれている。フロントバンパーについては中期型の上級グレードに装着されていたものに統一された。内外装に新色を設定。同時に特別仕様車「Plus navi HDD」発売。
- 2007年7月23日
- マイクラC+Cを日本で1500台限定販売(1月に導入発表)。このモデルのみ、日本でも「マーチ」ではなく「マイクラ」を名乗る。
- 2007年10月9日
- マーチ誕生25周年を記念して、過去の人気色「ショコラ」「パプリカオレンジ」とインターネットのアンケート投票で一番人気だった「アクアブルー」を採用した「12E/14E FOUR リミテッドカラー」をインターネット予約販売で各色250台限り限定復刻。
- 2007年11月8日
- 誕生25周年記念特別仕様車「25th Happiness(ニーゴー ハピネス」、「Plus Safety」、「KISEKAE」を発売。「25th Happiness」にはオートライトシステムなどが、「Plus Safety」には各種安全装備が、「KISEKAE」には2種類の専用シートカバー、専用フィニッシャー、専用キッキングプレートなどが装備された。
- 2008年5月27日
- 特別仕様車「12E/14E FOUR Plus navi HDD SP」と「12S/14S FOUR コレット」を期間限定発売。後者は購入でカーボンオフセット活動に参加したとみなされる特典が付く。
- 2008年10月7日
- 特別仕様車「12E/14E FOUR Iyashi Interior(いやしインテリア)」を発売。シルフィに採用されているHADASARA加工クロス(シートとドアトリム)や、プラズマクラスターイオンフルオートエアコンの特別装備を追加。これと同時に、プライバシーガラスと6:4分割リア可倒式シートを一部グレードに標準装備とする仕様変更を行った。
- 2009年5月12日
- 「12S」、「14S FOUR」をベースに、リヤ可倒式シート、プライバシーガラスを標準装備し、オーディオレス仕様としたことでお買い得価格に設定した特別仕様車「12S/14S FOUR コレット(シャープ)」を発売。同時にボディカラーの新色に「クリスタルライラックチタンパールメタリック」を設定(12Bを除く)し、「12E/14E FOUR/15E」にはスクエアインテリアパッケージの装備(スクエアインテリアシート、助手席シートアンダートレイ、助手席シートバックポケット)が標準化された。
- 2010年2月3日
- 特別仕様車「12S/14S FOUR コレットf(エフ)」を発売。インテリジェントキーとカラードドアハンドル、プライバシーガラスの特別装備を追加した代わりに、オーディオレス化、リア可倒式シートをベンチタイプにするなどして2WDモデルで100万を切る価格設定にした。
ファイル:Nissan March K12 006.JPG|リア(中期型)
ファイル:Nissan Micra front 20080127.jpg|マイクラ(欧州仕様、前期型)
ファイル:Nissan Micra 2008 MK12 front 20081201.jpg|マイクラ(後期型、2008年-)
ファイル:MarchBolero.jpg|マーチボレロ(後期型)
ファイル:Nissan-March rafeet-k12 2005-front.jpg|マーチラフィート(中期型)
ファイル:NISSAN MARCH S series.jpg|14s(前期型)
ファイル:NISSAN MARCH K12 interior.jpg|車内(後期型)
■ 『日産・マーチ』に 関連する人気アイテム
日産マーチ | ||
日産マーチ(参考になった人 4/4 人)
多くのクルマのチューニング&ドレスアップガイドであるハイパーレブの日産マーチ(K11)版です。大ヒット車であるK11マーチはそのコンセプトやスタイリング、ユーザー層から、ベーシックカーというイメージがある一方で、その非常にしっかりした基本構造からイジれるクルマでもあります。そんなK11オーナーにとって、K11の情報を一度にこんなに手に入れる手段は他には無いのではないでしょうか? 微チューンから、本格的ターボチューンの情報まで、盛り沢山です。マーチというクルマのありとあらゆる面を見ることができると思います。マーチをイジりたいという方必携でしょう。 |
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■ 『マーチ』の解説 by はてなキーワード
日産自動車のベストセラーコンパクトカー。
過去2代のマーチは、日本はもとより海外でも運転のしやすさ洗練されたデザインで好評を得る。
特に2代目のK11型はその優れたデザインにより人気を博し、超ロングセラーとなった。
現行モデルは2002年2月に発売された3代目のK12型。「ユーザーフレンドリーを追求した、おしゃれな新世代コンパクトカー」をコンセプトに開発された。
従来からの運転しやすさはそのままに、丸みとシャープさのバランスしたオリジナリティのあるデザインのエクステリア。質感の向上とスイッチなどの操作系を統一カラーとすることで、ハイレベルで機能的なデザインとしたインテリア。
プラットホームやエンジンも新開発とすることで、最新の安全、環境性能をも備えたクルマに仕上っている.2003年5月には、日産70周年記念として、特別仕様車も設定された。全12色のカラフルなボディカラーも魅力的。
2003年10月には日産関連会社のオーテックジャパンにてスポーツ指向のチューニングが施された「12SR」も追加された。
歴史
- K10(1982〜1991)
- 1981年10月 「NX-018」の車名で先行試作モデルが東京モーターショーに出展
- 1982年11月 K10マーチ発売
- 1985年 ターボグレード追加
- 1987年 キャンパストップを始めとするラインナップ追加
- 1989年 K10最終モデルチェンジ・マーチスーパーターボ発売
- K11(1992〜2002)
- 1992年1月 K11マーチ発売(前期モデル)
- 1993年 N-CVTモデル発売
- 1995年 グリル等の外装変更・排気量変更(中期モデル)
- 1999年 ハイパーCVTモデル・ハイパーCVT(M6)モデル発売・排気量変更(後期モデル)
- 2001年 K11最終モデルチェンジ
- K12(2002〜)
- 2002年2月 K12マーチ発売
- 2002年 e・4WD車追加
- 2003年 1.0Lモデル(事実上)廃止。スポーツモデル「14S」、「12SR」発売
- 2005年 マイナーチェンジ・1.5リッター車追加、スポーツモデル「15SR-A」追加
